ハンドキネシスでねらう、ハンドギネス
ATMで現金をおろした直後の財布内のお札の枚数は、当然おろす前と比べて増えてます。
そのおろした現金で厚みと重量を増した財布に一瞬ですがほんの少し心がはずむのは、幼い頃おばあちゃんが「お母さんには内緒だよ」とこっそり500円玉を握らせてくれた少年時代から変わりません。
なにかと出費のかさむ年末に備えて行う恒例の「大出金祭」の後は顕著な例で、心がはずむのを超えて無敵感すら得られます。
街を歩く自分の背筋もいつもよりピンと張っていることに気付きます。「どっからでもかかってこいやー!」とこれから身に降りかかるであろう見えない世の中の請求に対して強気になれるほどです。
このお札の枚数の増加がもたらしてくれる心の高揚に似た高揚を、ポケモンカードの対戦中にも手札の枚数が増えることで味わうことができます。
それがこのニャオニクスデッキです。
ニャオニクスの綺麗な体色と砂浜との対比の美しさをご覧下さい。
とてもキレイです。ですがイラストよりも注目してほしいのは、この下の技です。
「ハンドキネシス」は自分の手札の枚数×10ダメージと一見するとダメージ量の乏しい技に見えますが、上限のないところがロマンを感じさせてくれます。
よくせいポケモンであるニャオニクスですが、今回登場するニャオニクスはその内に秘めたサイコパワーを解放してくれたようです。
今回はこのハンドキネシスでいかにして大ダメージを与えられるかを念頭にデッキを作ってみました。
- 抑制された選択肢
当然ですがポケモンカードにおいて手札を増やすことはそう容易ではありません。
基本的にはポケモンにしろトレーナーズにしろ使うためにデッキに採用するので、おのずと消費する(手札が減る)ことになります。つまり1ターン内で消費する枚数を上回る枚数をドローしなければ手札は増えていきません。
SMレギュレーションの代表的なドローサポートにリーリエが挙げられますが、手札が6枚になる効果では永遠に手札の枚数は増えませんし、同じくよく使われるシロナでは増えた手札を減らしてしまいかねません。
困りました。これではコンセプトを達成するために使えるドローサポートが限られてきましたが、そんな手札事情にぴったりのサポートがありました。
サトシのゆうじょうです。
このイカした名称のトレーナーズは自分の場にサトシのピカチュウGXがいるなら、合計4枚山札を引くことができます。
仲間の想いに応えて力を発揮するサトシの人間性が再現された、なんて素晴らしいトレーナーズでしょうか。
マーマネと違い条件満たす必要がありますが、トラッシュすることなく4枚引けるため、このデッキのコンセプトにぴったりです。
- 友情に火をともして
ハンドキネシスのダメージをあげるためにはもっと手札を増やしたいところです。
そこで手札を増やすのに大いに貢献してくれるのが、特性あぶりだすをもつエンニュートです。ラグラージと同等の特性をもちますが、1進化ポケモンであるため、ふしぎなあめを必要とせず、特性を使用するために消費したエネルギーを炎の結晶で再度手札に加えられる点が優れています。
1ターンにドローサポートと合わせて2回あぶりだすを使えれば大ダメージが出せるので場にエンニュートは2体で十分ですが、ハイパーボールやネストボールを消費せず自力で引くことが手札の枚数増加につながるため、ヤトウモリとエンニュートをそれぞれ4枚ずつ採用しています。
また同時に収録されたサポート溶接工もエネルギーをつけながら3枚引けるため、手札の枚数は増やせませんが(炎エネルギー2枚+溶接工1枚の計3枚消費してしまう)、ダブル無色エネルギーが引けず技を打てないターンを無くすことができ、手札を保持できるのもこのデッキと相性がいいです。
シロナを4枚入れているのは先に述べたことと矛盾していますが、1、2ターン目の動きを安定させるためにはあると心強いです。1ターン目に消費できないカードが全体の半分を占めているためリーリエではなくシロナにしていますが、リーリエでも問題ありません。
- 楽しさも増えていく
このデッキは大ダメージを出すのにどうしても準備に時間がかかるため、出せるダメージが2ターン目は60~90ダメージ、3ターン目でも100~150ダメージと少し物足りなさはありますが、きちんと展開できれば4ターン目以降は200ダメージオーバーを狙えます。
目安を記しておきますと、1ターン内であぶりだす2回でプラス4枚、サトシのゆうじょうでプラス3枚、炎の結晶でプラス2枚の計9枚増え、そこからニャオニクスに進化させてマイナス1枚、次のニャスパーをベンチ出してマイナス1枚、ダブル無色エネルギーをつけてマイナス1枚で計3枚減るので、9-3で60ダメージのアップが期待できます。
バトル場のポケモンを倒せれば決着がつく締めのターンには山札を全て引ききれるため、タッグチームGXも一撃で倒せるダメージが出せます。こんなカワイイポケモンがこんな力を秘めてるなんて。ニャオニクスのサイコパワー恐るべしです。
たとえ相手のバトルポケモンを一撃で倒すことができなかったとしても、ダブルチーズバーガー並みに厚みのある手札を抱えてるだけで理由もなく楽しくなってきます。
たくさんカードを引ければ、それだけで楽しいです。
「カードをたくさん引けても、勝てなきゃつまんねーし」という健全な思考をお持ちの方は、序盤にダメージを出せるポケモンがいないため、「しゃくねつのいぶき」のレシラムを入れてみてもいいかもしれません。
- カードさえあればいい
このデッキは手札は多くなりますが、同じく手札が多くなるゾロアークGXデッキのように選択肢がたくさんあって、考える楽しさがあるデッキではありません。でもなぜだか楽しい。
小学生の時にはじめてポケモンカードを手にしました。友達と対戦していない時でも、家でコモンカードの束を両手に持ってるだけで楽しかった思い出があります。
ふと思いました。この原体験が無意識に対戦中に呼び起こされるため楽しく感じられるのでないかと。理屈っぽい私は、そう勝手に分析しています。
手にある。楽しい。
エンニュートが隠された本質を、あぶりだしてくれました。