ロックされているのは誰だ
私は制限下に置かれてる状況に興奮するタイプです。
国語の授業で初めて俳句作りに挑戦した時、「五・七・五」の定型詩に収め、さらにはそこに季語まで入れなければならないという縛りがあることに、ゾクゾクしたことを覚えています。
嫌いじゃないんです。その状況が。
むしろ縛りが発奮材料になってくれたりもします。
要するに、「M」ってやつです。
そんなMカードゲーマーを満足させるデッキがポケモンカードにもあります。
それがこのオムスターデッキです。
オムスターの特性を見てみましょう。
相手よりベンチポケモンを少なくしなければ、相手のグッズを封じることができません。
使用するプレイヤーになかなかの縛りを要求しています。
この特性が発動する条件を満たすため、必然的にベンチにポケモンを多く並べることができません。
そうなると、オムスターのパートナーには他のポケモンのサポートを受けなくとも、単体で戦えるポケモンであることが求められます。
そこで注目してみたのが、サンダースGXです。
3つの技全てが使いやすく、少ないエネルギーでダメージを与えられます。
技を打つための複雑な条件もないので、ベンチポケモンのサポートも必要としません。
相手のGXポケモンを一撃で倒すパワーはありませんが、グッズを封じながら110ダメージ与えられるのは魅力的です。
さらに雷タイプ専用サポートのデンジが自然に入ることで、2進化ポケモンであるオムスターを育てやすくなる点も相性がいいと考えます。
- 置くか置かないかの苦悩
冒頭の話しに戻ります。どの点がMカードゲーマーを悶えさせるのか。
一般的な2進化デッキの場合、元になるたねポケモンをベンチに出すことにためらう場面はそう多くはありません。
むしろ、ふしぎなアメを使用した場合でも戦えるまで最短で2ターンを要するので、積極的にベンチに展開していくことのほうが多いです。
ですが、オムスターは特性の都合上、なぞの化石を出してしまうと自らの特性を消してしまうことになる場合があります。
これは困ったものです。
「そろそろグズマでオムスターが呼ばれて、倒されそうな予感がする。次のオムスターを用意しておきたい。でも次のターンでグッズを使わせてしまうと形勢が逆転してしまうかもしれない」
こういった場面がたびたび訪れます。ここでふと気付きました。
俺も縛られとるやないかい。
相手プレイヤーの行動を縛るカードが、実は己をも縛るカードであったのです。
ですが、これはこのデッキの長所でもあります。
この縛りがある中で選択に迷うことは、カードゲームの楽しさの一端であるからです。
Mである私にはこの状況がたまりません。
デッキを紹介しているのか、性癖を紹介しているのか分からなくなってきました。
ここで言いたいのは、とにかくオムスターというカードは強いけど使いづらいということです。
- 化石の復元に携わるデンジ研究員
このデッキにおけるデンジは、場をあっという間に完成させることができる強力なサポートです。
イーブイはエネルギーをつけるだけで特性でサンダースGXに進化できるため、育てる手間がかかりません。
つまりデンジで加えるグッズは、オムスターを進化させるパーツ集めに全力を注げられるということです。
このデンジに加えて、おとりよせパッドを3枚採用したことで、よりふしぎなアメやなぞの化石にアクセスしやすくしています。
オムスターが育った後は、おとりよせパッドが今度はエレキパワーになる可能性があるため、手札で腐ることはありません。
2体目のオムスターをたてるパーツを山札に戻すことなく手札に保持しながらドローができるハウもいい働きをしてくれます。
エスケープボードはオムスターがバトル場で縛られた際に、グズマに加えてデンジでも逃がせるようにするためです。ポケモンいれかえでもいいかもしれません。
- 化石発掘体験報告
化石ポケモンの特殊な進化の過程が見事にカードゲームでデザインされてることに感嘆します。
進化の過程が複雑なためか、通常の2進化ポケモンよりも育てられた時の喜びが大きいです。
そして、これは絶対に取り上げておきたい。
「化石発掘マップ」です。
なんてシンプルで素敵な名称のトレーナーズでしょうか。
真剣勝負の最中であっても、宣言すると冒険に出かけたくなってきます。少年の心をくすぐるイラストも好きです。
昔、公園を模した地図にバッテンを書いて「あそこに宝箱が埋まってるぞ!」と遊んでいたことを思い出しました。
「かせきのしがらみ」は相手を苦しめ、時には自分をも苦しめますが、化石デッキを使ってる時の楽しい気持ちは、私を現実のしがらみから解放してくれます。