ステージのご用意できました
「あれ!?なんだかいつもよりカワイイぞぉ?」
秋から冬にかけての時期に学校や職場でマフラーを巻いた女性に心ときめいたことのない男性はいないはずです。
いつも会ってる○○ちゃんがマフラー効果でカワイさ増し増しになったのを見ると、「やめてくれ!好きになってまうやないかい!」とツッコミをいれたくなってしまうほどです。
そんな女性の魅力を最大限に引き出す神アイテムであるマフラーを標準装備しているポケモンがいます。
コロボーシです。常にマフラーしてるみたいでカワイイです。
私はこのコロボーシというポケモンが大好きなのですが、その進化後のコロトックがこれまでガチ対戦で使えるような強さのカードとして登場したことがないため、当然コロボーシも使えずにいました。
こおろぎポケモンであるコロボーシの鳴き声は秋を知らせるものではなく、強いカードとして世に出たいと願う自身の叫びではないかと分析するポケモン研究者もいるそうです。
そんなポケモンカード界では不遇の立場だったコロボーシ&コロトックですが、最新の連撃マスターでついに大出世を果たしました。
ポケモンVとして登場したのもビックリですが、特筆すべきはその特性です。
特性「エキサイトステージ」は手札が3枚になるように引けて、バトル場にいるならボーナスで4枚になるように引けるのだとか。
やったあ!これは強い!クリーチャーズさん、ありがとう!
突如こんな能力を与えられたら、そりゃあコロトック自身もエキサイトしちゃいます。
これまでなかなか対戦の場で使われることのなかったポケモンが強いカードとして出るのは本当にめでたい。
余談ですが、コロトックが連撃マスターに収録されたのは、鳴くときに腕を胸の前で交差させるコロトックの動きがバイオリン奏者を連想させ、早弾きする→連続で音を奏でる→なんか連撃っぽい!といった理由なのではないかと推測しております。
鳴くときはナイフのような腕を胸の前で交差させる。即興でメロディを作る。(ポケモン図鑑より引用)
コロトックファンである私は早速、この超強力特性「エキサイトステージ」を最大限に生かすべくデッキづくりに取りかかりました。
ダブルコロトックデッキです。
パッと見たところ好きなポケモンを2種類ぶちこんだだけのように見えますが、毎ターン手札を1枚にし、技「きままなえんそう」の追加100ダメージを狙う構築にしているため、ターンの初めに自然と手札が少なくなっているこのデッキとはとても相性がいいです。
デッキを回しているとコロトック同士の共鳴が聴こえてきそうです。これぞファンデッキ。
ちなみにこのデッキの最大の楽しみ方は、「こんなに頭使って手札1枚にしてるのに130しか出ないのかよー。割りに合わねー。」と嘆きながらプレイすることです。
でも脳トレにはもってこいです。手札1枚できままなえんそうを6回宣言できれば不思議な達成感が得られます。老後にプレイしたいデッキの筆頭です。
このデッキは毎ターンバトル場のポケモンが倒れることを想定し、最大6回バトル場でエキサイトステージを使うことを念頭に作ったものですが、今度は毎ターン入れ替えるギミックを搭載したデッキにコロトックVを組み込めないかと考えてみました。
そこで入れ替える効果をもつカードで真っ先に挙げられるのが、エクストラを象徴するサポートであるグズマです。
相手のベンチポケモンを呼べて、おまけに入れ替え効果までついたこの超強力サポートを何度も使うデッキに組み込めれば、グズマを使ったターンにはドローサポートが使えないという欠点を補えるのではないかと考えました。
話はそれますが、ここで以前トレーナーズリーグで使っていたデッキを思い出します。
コインを投げ表なら相手の山札を5枚トラッシュし裏なら自分の山札を5枚トラッシュする、とんでもない技「リスクテイカー」をもったストリンダーデッキです。
エクストラではイカサマコイン(コインを投げなおせるどうぐ)や特性しょうりのほしをもったビクティニが使えますが、それでも2回連続で裏が出ることはしばしばあることなので安定して勝つにはこれらには怖くて頼れません。
要するに「このカードを使うのであれば、毎ターンイツキをきちんと使って下さいね。」という開発側のメッセージがこのストリンダーから読み取れます。
毎ターン1度しか使えない貴重なサポートの権利をイツキにまわすということは、当然他のカードでドローを補わなければなりません。
そして試行錯誤の末、この特性さいはいのヤレユータンと手札が4枚になるように引けるグッズ「じてんしゃ」でドローする構築にしたところ、2ターン目から安定してイツキを使いながらストリンダーに進化させてエネルギーを貼り、次のエレズンを用意することが可能になりました。
私がこのデッキを作ったことで得たものがあります。
それはヤレユータン&じてんしゃ構築にすることで、毎ターン一般的なドローサポートを使わなくてもポケモンを育てて技を打つことが可能であるという発見です。
話を戻します。
このストリンダーデッキを作った経験がサポートがグズマだけでもデッキはきちんと回ることを教えてくれたわけですが、大会に出場するにあたってはもちろん、回るだけではなくエクストラレギュレーションの強力な環境デッキと対等に戦えるデッキでなければなりません。
そこで後攻1ターン目からグズマを使える強みを生かすべく、デッキ製作に取り組みました。主軸となるポケモンは必然的にたねポケモンで、なおかつ1ターンでエネルギーの準備ができるポケモンでなければなりません。
すぐに最新のガラルファイヤーVが思いつきました。
自身の特性でエネルギーが付くためエネルギーの準備は容易ですが、仮想敵であるウーラオスVやザシアンVのHP220に届かせるのが難しく、展開用のトレーナーズを削ってダメージアップ用のそれを入れているためその分安定感も下がり、連勝するのは難しいと思いました。
サポートがグズマだけのデッキで勝つことはあきらめ、耐久力のあるホエルオーVを使った山札切れを目指すデッキの調整を進めていたのですが、ふと見慣れたカードが目に入ります。
みんな大好き(たぶん)ザシアンVです。
私は普段からファンデッキばかりを作って遊んでおり、「みんなが使わないカードで勝ってやるぜぇい、ヒッヒッヒ」ともくろんでばかりいるため、王道中の王道であるザシアンVの存在は完全に盲点でした。これはイケません。
はじめてのザシアン。
ガラルファイヤーと違いエネルギーの準備は大変になりましたが、その分ダメージアップ用のトレーナーズにさいていたスペースにドローできるカードを入れられるようになったため、エネルギーの準備の差はそれほど感じませんでした。
ほぼ同じ労力で230ダメージ出せるのですから、さすがはソードシールドシリーズの看板ポケモンです。でもあまりに強すぎて、複雑な条件を満たして大ダメージを出すギミックを好む身としては「やっぱりお前やりすぎなんじゃないかと」自分で使っててザシアンに問いただしたくなってきます。
このデッキの出発点はコロトックなのに、コロトックの強さよりザシアンの強さが際立ってしまいました。
でもコロトックをよく見てみると、ぐるぐる巻かれたチャーミングなお髭が執事を彷彿とさせ、強さの頂点に位置するキングザシアンに仕える(サポートする)ポケモンとしてはルックス的にもふさわしく見えてきたので、ザシアンが目立ちすぎて悔しいですが、これでよしとしておきます。
回りくどくあれこれ書きましたが、
「コロトック強いよ!」「グズマと相性いいよ!」「ファンデッキ作って遊ぼうぜ!」
私が伝えたかったのはこれだけです。
細かい採用理由等もカッコつけて書きたかったのですが、記事の趣旨がブレてしまうため書きません。
デッキが生まれた経緯を記したら面白くなるのではないかと思い、筆をとりました。
コロトックに倣って楽しい文章を奏でてみましたが、みなさんの耳にはどう響いたでしょうか。
ハンドキネシスでねらう、ハンドギネス
ATMで現金をおろした直後の財布内のお札の枚数は、当然おろす前と比べて増えてます。
そのおろした現金で厚みと重量を増した財布に一瞬ですがほんの少し心がはずむのは、幼い頃おばあちゃんが「お母さんには内緒だよ」とこっそり500円玉を握らせてくれた少年時代から変わりません。
なにかと出費のかさむ年末に備えて行う恒例の「大出金祭」の後は顕著な例で、心がはずむのを超えて無敵感すら得られます。
街を歩く自分の背筋もいつもよりピンと張っていることに気付きます。「どっからでもかかってこいやー!」とこれから身に降りかかるであろう見えない世の中の請求に対して強気になれるほどです。
このお札の枚数の増加がもたらしてくれる心の高揚に似た高揚を、ポケモンカードの対戦中にも手札の枚数が増えることで味わうことができます。
それがこのニャオニクスデッキです。
ニャオニクスの綺麗な体色と砂浜との対比の美しさをご覧下さい。
とてもキレイです。ですがイラストよりも注目してほしいのは、この下の技です。
「ハンドキネシス」は自分の手札の枚数×10ダメージと一見するとダメージ量の乏しい技に見えますが、上限のないところがロマンを感じさせてくれます。
よくせいポケモンであるニャオニクスですが、今回登場するニャオニクスはその内に秘めたサイコパワーを解放してくれたようです。
今回はこのハンドキネシスでいかにして大ダメージを与えられるかを念頭にデッキを作ってみました。
- 抑制された選択肢
当然ですがポケモンカードにおいて手札を増やすことはそう容易ではありません。
基本的にはポケモンにしろトレーナーズにしろ使うためにデッキに採用するので、おのずと消費する(手札が減る)ことになります。つまり1ターン内で消費する枚数を上回る枚数をドローしなければ手札は増えていきません。
SMレギュレーションの代表的なドローサポートにリーリエが挙げられますが、手札が6枚になる効果では永遠に手札の枚数は増えませんし、同じくよく使われるシロナでは増えた手札を減らしてしまいかねません。
困りました。これではコンセプトを達成するために使えるドローサポートが限られてきましたが、そんな手札事情にぴったりのサポートがありました。
サトシのゆうじょうです。
このイカした名称のトレーナーズは自分の場にサトシのピカチュウGXがいるなら、合計4枚山札を引くことができます。
仲間の想いに応えて力を発揮するサトシの人間性が再現された、なんて素晴らしいトレーナーズでしょうか。
マーマネと違い条件満たす必要がありますが、トラッシュすることなく4枚引けるため、このデッキのコンセプトにぴったりです。
- 友情に火をともして
ハンドキネシスのダメージをあげるためにはもっと手札を増やしたいところです。
そこで手札を増やすのに大いに貢献してくれるのが、特性あぶりだすをもつエンニュートです。ラグラージと同等の特性をもちますが、1進化ポケモンであるため、ふしぎなあめを必要とせず、特性を使用するために消費したエネルギーを炎の結晶で再度手札に加えられる点が優れています。
1ターンにドローサポートと合わせて2回あぶりだすを使えれば大ダメージが出せるので場にエンニュートは2体で十分ですが、ハイパーボールやネストボールを消費せず自力で引くことが手札の枚数増加につながるため、ヤトウモリとエンニュートをそれぞれ4枚ずつ採用しています。
また同時に収録されたサポート溶接工もエネルギーをつけながら3枚引けるため、手札の枚数は増やせませんが(炎エネルギー2枚+溶接工1枚の計3枚消費してしまう)、ダブル無色エネルギーが引けず技を打てないターンを無くすことができ、手札を保持できるのもこのデッキと相性がいいです。
シロナを4枚入れているのは先に述べたことと矛盾していますが、1、2ターン目の動きを安定させるためにはあると心強いです。1ターン目に消費できないカードが全体の半分を占めているためリーリエではなくシロナにしていますが、リーリエでも問題ありません。
- 楽しさも増えていく
このデッキは大ダメージを出すのにどうしても準備に時間がかかるため、出せるダメージが2ターン目は60~90ダメージ、3ターン目でも100~150ダメージと少し物足りなさはありますが、きちんと展開できれば4ターン目以降は200ダメージオーバーを狙えます。
目安を記しておきますと、1ターン内であぶりだす2回でプラス4枚、サトシのゆうじょうでプラス3枚、炎の結晶でプラス2枚の計9枚増え、そこからニャオニクスに進化させてマイナス1枚、次のニャスパーをベンチ出してマイナス1枚、ダブル無色エネルギーをつけてマイナス1枚で計3枚減るので、9-3で60ダメージのアップが期待できます。
バトル場のポケモンを倒せれば決着がつく締めのターンには山札を全て引ききれるため、タッグチームGXも一撃で倒せるダメージが出せます。こんなカワイイポケモンがこんな力を秘めてるなんて。ニャオニクスのサイコパワー恐るべしです。
たとえ相手のバトルポケモンを一撃で倒すことができなかったとしても、ダブルチーズバーガー並みに厚みのある手札を抱えてるだけで理由もなく楽しくなってきます。
たくさんカードを引ければ、それだけで楽しいです。
「カードをたくさん引けても、勝てなきゃつまんねーし」という健全な思考をお持ちの方は、序盤にダメージを出せるポケモンがいないため、「しゃくねつのいぶき」のレシラムを入れてみてもいいかもしれません。
- カードさえあればいい
このデッキは手札は多くなりますが、同じく手札が多くなるゾロアークGXデッキのように選択肢がたくさんあって、考える楽しさがあるデッキではありません。でもなぜだか楽しい。
小学生の時にはじめてポケモンカードを手にしました。友達と対戦していない時でも、家でコモンカードの束を両手に持ってるだけで楽しかった思い出があります。
ふと思いました。この原体験が無意識に対戦中に呼び起こされるため楽しく感じられるのでないかと。理屈っぽい私は、そう勝手に分析しています。
手にある。楽しい。
エンニュートが隠された本質を、あぶりだしてくれました。
今日はタマ投げ休みます
野球で牽制球に対して、走者が必死にベースにしがみつくようにして塁に戻る場面が好きです。
アウトにならないよう、体の大きい野球選手があの小さいベースに支配されているような様がかわいく映ります。
「いやいや、だってベースに体の一部が触れてないとアウトになるってルールがあるし」ってツッコまれようと、私にはそう見えるんです。
そんな私はポケモンカードの対戦中にも、対戦相手がどのポケモンにエネルギーカードをつけようかと迷っている様子に微笑ましく思ってしまうことがあります。
エネルギーカードは1ターンに1枚しか付けることができないというルールに忠実に従っている様子が、ベースに戻る野球選手と重なるのです。
ちょっと大げさすぎました。でも、かわいく映ることは確かです。
今回はそんな1ターンに1枚しか付けられないエネルギーの縛りから自由になれるデッキを紹介します。
アローラナッシーデッキです。エネルギーカードが入ってません。
エネルギーが入ってないので、エネルギー関連で悩むこともありません。
サンムーンシリーズに登場するアローラポケモンはエネルギーなしでも使える技を携えていることが多いですが、このアローラナッシーも例に漏れず携えています。
「パラダイスドロー」
どことなく勝ち組っぽい響きの技名ですが、その技の効果も勝ち組っぽい効果をもってます。
なんと、手札が6枚になるように引けるみたいです。しかも自由にトラッシュもしていいのだとか。エネルギーなしで使える技とは思えません。
まさにパラダイスです。今回はそんなパラダイスな技を生かす構築にしてみました。
- 高くそびえたつヤシの実
本来、山札を引く行為はターン中に行うのが一般的ですが、技で山札を引けるということはサポートカードで引かなくても手札を潤すことができる、つまりドロー効果でないサポートカードを使う余裕ができることになります。
このデッキに関していえば、プルメリやアセロラといった強力な効果をもつサポートを毎ターン使用できるということです。
このデッキはリストをご覧のとおり、妨害系トレーナーズがふんだんに盛り込まれており、それらサポートカードを駆使し最終的に相手の山札切れを目指していきます。
優れているのは技だけに限りません。このアローラナッシーはHPが160と高く、さらにムキムキパッドをつければ210に跳ね上がり、こだわりハチマキのダメージ増加ものらないため相手の攻撃を1回耐えてくれます。
さらにはプルメリ使用時の、手札を2枚トラッシュしなければならないデメリットが、このデッキではパラダイスドローで引ける枚数を増やすメリットに変わる点も相性がいいといえます。
毎ターン、ナッシーが倒れないようにうまく回復させながら、相手のデッキ内のエネルギーをトラッシュしていき技を打たせないところまでもっていければ、もうちょっとで勝利です。
- 山札回復生命体
相手の山札切れを狙うデッキでの対戦はどうしてもターン数が多くなるため、番の最初に行うドローの回数も当然多くなってきます。
そのうえ、プルメリで手札を消費し、パラダイスドローで手札を増やしているため、これではこちらの山札が先に切れてしまいかねません。
それを防いでくれるのが、このスターミーです。
図鑑ナンバーの横に「なぞのポケモン」との紹介がありますが、特性もまさに謎めいています。
せっかく進化させたのに山札に帰ってしまう、トレーナー泣かせな奴です。
ですがこのデッキにおいては、むしろ帰ってくれて万歳です。笑顔でスターミーを見送ってやれます。
手土産にムキムキパッドも持たせてやりましょう。これで山札3枚回復です。
このスターミーとシロナを山札にきちんと残しておくことで、自身の山札切れを防いでいきます。
この初代エスパータイプポケモンの同期コンビ、なかなかやります。
- Notパラダイスな現実
最後に悲しいお知らせがあります。
このデッキ、仮に戦術がうまく決まっても現在の25分という対戦時間では、時間内に勝利することができません。
相手の山札をトラッシュする技をもつカードを入れればいいのですが、エネルギーカードを入れないというスターミー以上に謎の制約を自らに課しているのと、入れるスペースもないからです。
また、互いに山札を切らさないようプレイする緊張感のある楽しみが私は好きなのですが、その楽しみを損なわないためにも、上記の効果をもつカードは入れないほうがいいかもしれません。
いつかナッシーが語ってくれました。
「これがアローラ流の対戦作法さ」
大ダメージを与え合うだけになりがちな対戦環境に、ナッシーは一玉を投じています。
ヤシの実だけに。
いい交替役、みーっけ
二面性に心魅かれる時ってありますよね。
数年前に旅先で廃墟となった建造物を見た時に、その外観のおぞましさの中に栄えていた過去があったことを思うと、廃れた様が美しく感じたことを覚えています。
身近な場面では攻守交替の激しいスポーツを観戦していて、ついさっき派手な得点を挙げた選手が守備に奮闘してる姿を見た時にも同様に感じることがあります。
私がおっさんになったことも関係しているかと思いますが、先日バレーボールを観戦していて、試合のダイジェストに使われることもないであろうただのレシーブに涙腺がゆるみました。
おそらくその直前に鮮やかなスパイクを放った人物の、ボールに飛びつくレシーブという行為に二面性を感じたからだと思います。
「二面性は、時に美しさを帯びるものである」
おそらくこんな文言を、中世の芸術家の誰かがどっかの文献に残しているはずです。
とにかく、二面性をもつ事象はいいですよね。
ポケモンカードにも、そんな二面性を感じさせてくれるカードがありました。
普段、その高い攻撃力を生かして前線でゴリゴリ攻撃している彼らですが、今回は240ある高いHPに注目し、その耐久性を最大限感じられるデッキを作ってみました。完成したデッキがこちら。
エレザードデッキです。
エレザードはちょっと変わった効果のある技を持っていますので、見てみましょう。
技「ボルトチェンジ」は自分のベンチに雷ポケモンがいる場合、プレイヤーに入れ替えを強いる効果を持っています(雷ポケモンがいない場合、入れ替えはおこらない)。
なかなかのヘンテコ技です。
技を打った後に入れ替えるということは、エレザードの代わりにバトル場に出たポケモンがダメージを受けることになります。
では、誰にダメージを受けてもらうのがいいのか。
ボルトチェンジの技のダメージは90しかなく、相手のポケモンを一撃で倒すことは難しいので、一撃で倒されてしまうポケモンをエレザードの代わりに差し出していては、先にサイドカードを取りきられてしまいます。
HP240のポケモンをそう簡単に一撃で倒すことはできません。
このデッキは毎ターン、ピカチュウ&ゼクロムGXが倒されないようにまんたんのくすりとアセロラで回復させながら、ボルトチェンジで攻撃していきます。
- シルヴァディ総指揮官
毎ターンピカチュウ&ゼクロムGXがバトル場に出るということは、当然逃がす手段も必要になってきます。
長らくポケモンを逃がす定番グッズであった「かるいし(つけているポケモンの逃げるエネルギーがゼロになるどうぐ)」が使えない現在では、ポケモンいれかえが代用されていますが、使いきりのグッズであるため毎ターンバトル場のポケモンを逃がすコンセプトには不向きです。
そんなコンセプトの助けになるのが、このシルヴァディGXの特性ジャイロユニットです。
場にシルヴァディGXがいるかぎり、たねポケモンのにげるエネルギーがなくなるため、攻撃に移る際、容易にエレザートとの交換が可能です。
また、エリキテル以外のポケモンでスタートした時に2ターン目からスムーズに技を使うことも助けてくれます。
雷タイプには特性じんらいゾーンをもつ大御所のゼラオラGXというカードが存在しますが、ゼラオラにはないシルヴァディの強みがあります。
それは、毎ターンエレザードにエネルギーをつけられる点です。
特性じんらいゾーンは雷エネルギーがついていないとにげるエネルギーをゼロにできません。
そのためゼラオラを使う場合、まんたんのくすりで全回復したピカチュウ&ゼクロムに再度つけなければなりませんが、そうなると相手のグズマでエレザードが呼ばれて倒された場合に備えて、2体目のエレザードにエネルギーをつけられなくなってしまいます。
与えられるダメージが少ないデッキなので、技を使えないターンがあっては致命的です。
また、シルヴァディに雷エネルギーを1個つけておくと強力なGX技であるリベリオンGXも狙えるため、その点でもゼラオラより優れています。
- 楽しさが、スパークする
このデッキを回す際の大事なポイントは、エレザードを1体メタモンから進化させておくことです。
そうすることで、ベンチにエネルギーのついていないエリキテルを1体用意しておく余裕が生まれ、ピカチュウ&ゼクロムを回復させることができなかったターンに、ボルトチェンジ後に代わりに場に差し出すことができます。
エリキテルは倒されても、サイドカードを1枚しか取られないため問題はありません。
まんたんのくすりやアセロラを手札に保持しながらドローできるようマーマネも採用しています。
エーテルパラダイス保護区も駆使して、ピカチュウ&ゼクロムが倒れないよう頑張って回復させてあげて下さい。
さて、このエレザードデッキの魅力が少しでも伝わりましたでしょうか。
グズマというカードが存在するため、強いデッキではありませんが、相手が蓄積してきたダメージを帳消しにできる、まんたんのくすりやアセロラをデメリットなしで使用できることに加え、ボルトチェンジでぐるぐる入れ替える作業があるので使っていて楽しいデッキです。
また、今回はピカチュウ&ゼクロムを使いましたが、構築次第で1枚のカードに別の役割をもたせることができるカードゲームの楽しさを感じることもできます。
あとこれも付け加えておきたいのですが、このエレザードのイラスト、大好きです。
日光浴の最中なのでしょうか。とても気持ち良さそうです。
顔の面積が広いと、太陽光を効率良く吸収できそうですよね。
顔のでかい私も、もしかしたらこれまでその恩恵を受けてたかもしれません。
気付きを与えてくれてありがとう、エレザード。
間違えました。楽しい時間をありがとう、エレザード。でした。
ガチガチなバトルをした後の息抜きに、このデッキに「チェンジ」してみてはいかが。
ロックされているのは誰だ
私は制限下に置かれてる状況に興奮するタイプです。
国語の授業で初めて俳句作りに挑戦した時、「五・七・五」の定型詩に収め、さらにはそこに季語まで入れなければならないという縛りがあることに、ゾクゾクしたことを覚えています。
嫌いじゃないんです。その状況が。
むしろ縛りが発奮材料になってくれたりもします。
要するに、「M」ってやつです。
そんなMカードゲーマーを満足させるデッキがポケモンカードにもあります。
それがこのオムスターデッキです。
オムスターの特性を見てみましょう。
相手よりベンチポケモンを少なくしなければ、相手のグッズを封じることができません。
使用するプレイヤーになかなかの縛りを要求しています。
この特性が発動する条件を満たすため、必然的にベンチにポケモンを多く並べることができません。
そうなると、オムスターのパートナーには他のポケモンのサポートを受けなくとも、単体で戦えるポケモンであることが求められます。
そこで注目してみたのが、サンダースGXです。
3つの技全てが使いやすく、少ないエネルギーでダメージを与えられます。
技を打つための複雑な条件もないので、ベンチポケモンのサポートも必要としません。
相手のGXポケモンを一撃で倒すパワーはありませんが、グッズを封じながら110ダメージ与えられるのは魅力的です。
さらに雷タイプ専用サポートのデンジが自然に入ることで、2進化ポケモンであるオムスターを育てやすくなる点も相性がいいと考えます。
- 置くか置かないかの苦悩
冒頭の話しに戻ります。どの点がMカードゲーマーを悶えさせるのか。
一般的な2進化デッキの場合、元になるたねポケモンをベンチに出すことにためらう場面はそう多くはありません。
むしろ、ふしぎなアメを使用した場合でも戦えるまで最短で2ターンを要するので、積極的にベンチに展開していくことのほうが多いです。
ですが、オムスターは特性の都合上、なぞの化石を出してしまうと自らの特性を消してしまうことになる場合があります。
これは困ったものです。
「そろそろグズマでオムスターが呼ばれて、倒されそうな予感がする。次のオムスターを用意しておきたい。でも次のターンでグッズを使わせてしまうと形勢が逆転してしまうかもしれない」
こういった場面がたびたび訪れます。ここでふと気付きました。
俺も縛られとるやないかい。
相手プレイヤーの行動を縛るカードが、実は己をも縛るカードであったのです。
ですが、これはこのデッキの長所でもあります。
この縛りがある中で選択に迷うことは、カードゲームの楽しさの一端であるからです。
Mである私にはこの状況がたまりません。
デッキを紹介しているのか、性癖を紹介しているのか分からなくなってきました。
ここで言いたいのは、とにかくオムスターというカードは強いけど使いづらいということです。
- 化石の復元に携わるデンジ研究員
このデッキにおけるデンジは、場をあっという間に完成させることができる強力なサポートです。
イーブイはエネルギーをつけるだけで特性でサンダースGXに進化できるため、育てる手間がかかりません。
つまりデンジで加えるグッズは、オムスターを進化させるパーツ集めに全力を注げられるということです。
このデンジに加えて、おとりよせパッドを3枚採用したことで、よりふしぎなアメやなぞの化石にアクセスしやすくしています。
オムスターが育った後は、おとりよせパッドが今度はエレキパワーになる可能性があるため、手札で腐ることはありません。
2体目のオムスターをたてるパーツを山札に戻すことなく手札に保持しながらドローができるハウもいい働きをしてくれます。
エスケープボードはオムスターがバトル場で縛られた際に、グズマに加えてデンジでも逃がせるようにするためです。ポケモンいれかえでもいいかもしれません。
- 化石発掘体験報告
化石ポケモンの特殊な進化の過程が見事にカードゲームでデザインされてることに感嘆します。
進化の過程が複雑なためか、通常の2進化ポケモンよりも育てられた時の喜びが大きいです。
そして、これは絶対に取り上げておきたい。
「化石発掘マップ」です。
なんてシンプルで素敵な名称のトレーナーズでしょうか。
真剣勝負の最中であっても、宣言すると冒険に出かけたくなってきます。少年の心をくすぐるイラストも好きです。
昔、公園を模した地図にバッテンを書いて「あそこに宝箱が埋まってるぞ!」と遊んでいたことを思い出しました。
「かせきのしがらみ」は相手を苦しめ、時には自分をも苦しめますが、化石デッキを使ってる時の楽しい気持ちは、私を現実のしがらみから解放してくれます。